BMキャピタルは玄人投資とも言われるバリュー株投資を実践しており堅実なリターンを出し続けています。
今回は、同社のバリュー株投資を行った「金下建設」の事例をまた取り上げてみたいと思います。
その他の事例については以下をご覧ください。
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BMキャピタルについては詳しくは以下でお伝えしています。
→【BMキャピタル】日本最大の評判の和製ヘッジファンド「BM CAPITAL」の運用実績や口コミを含めて網羅的に解説!
金下建設の会社概要
社名 | 金下建設株式会社 |
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本社所在地 | 〒629-2251 京都府宮津市字須津471番地の1 |
電話番号 | 0772-46-3151 (代表) |
FAX番号 | 0772-46-5024 |
代表者名 | 代表取締役社長 金下 昌司 |
設立日 | 昭和26年4月10日 |
資本金 | 10億円 |
従業員数 | 243名(2020年12月31日現在) |
近畿北部地盤の総合建設。土木で創業。道路舗装含め官公需に強み。民間建築部門拡充。好財務
直近は以下のような業績となっています。
【黒字復帰】新規受注105億円は達成メド(前期85億円)も、受注時期遅れ完工事減。人件費高水準、低採算案件も多い。22年12月期は大型公共工事案件がなお見込めず。ただ手持ち消化に加え福祉施設等の民需取り込む。工事原価一段抑制。営業益浮上。
金下建設の時価総額は2022年1月現在、130億円ほどです。
小型株であり、BMキャピタルがリターン獲得を狙う100億円程度のバリュー株として基準は合致していくでしょう。
BMキャピタルがバリュー株投資として資金を投じた背景
私自身、バリュー株投資は長らく勉強してきましたが、その中でBMキャピタルは現金性資産について細かく精査するとの話を幾度となく聞きます。
BMキャピタルの投資戦略については以下で詳しくお伝えしていますので気になる方はご覧ください。
「ネットネット株の弱点」をアクティビスト戦略で補完!BMキャピタルが行う本格的なバリュー株投資戦略とは?
金下建設にBMキャピタルが投資を実施したのは2012年です。
つまり純現金性資産は15,378,000,000となります。(「現金+受取手形+有価証券+投資有価証券-負債合計」で求められます)
これはどういうことか、もし事業がたちゆかなくなり、会社を清算することになった場合に残る資産が150億円以上あるということです。
建物や機械など、実際には売却できる固定資産も30億円以上残っていますので、かなり盤石な経営をしてきたことがよくわかります。
しかし、この頃の金下建設の時価総額は、60億円ほどでした。
2012年1月1日の株価は1590円、現在は3495円となっており2.2倍となっています。現在の時価総額は133億円、2012年時点では60億円でした。
現金性資産のみで150億円ほどあるのに、時価総額はその5分の2しかありません。
上記の考えが割安かどうかの判断の全てではありませんが一部にはなります。
ファンダメンタルズ分析的にも、東日本大震災の影響で売上、営業利益の伸びは止まっている状況でした。
しかしこれは一過性の沈みとも言え、実際に株価は2022年時点で2倍になっています。
バリュー株投資の真髄として、相場全体が下がった時に、価値があるのに株価が下落してしまった銘柄を拾うという基本原則があります。
金下建設に関してはまさにその通りにBMキャピタルはバリュー株投資を実行できているように感じます。
売上高 | 売上成長率 | 営業利益 | 営業利益成長率 | |
2009 | 10,658 | - | 238 | - |
2010 | 16,660 | 56% | 410 | 72% |
2011 | 12,986 | -22% | -342 | -183% |
2012 | 13,319 | 3% | -492 | 44% |
2013 (予想) | 19,400 | 46% | 20 | -104% |
過去 5 年平均値 | 14,604 | - | 28 | - |
アクティビストとして自社株買いを要求
バリュー株投資の弱点として、価値のある企業に投資をしたものの、市場がいつその企業の価値に気づいて株を買いにくるのかがわからない。
つまりは株価がいつ上昇するのかがわからない、というものがあります。
そんな時にどうすればよいか?をバリュー株投資の父、ベンジャミン・グレアム氏はアクティビスト活動をする必要性を説いています。
歴史を遡ってみると、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットの師とも呼ばれるベンジャミン・グレアムが、ノーザンパイプラインという会社に増配を要求したという記録があります。1927年のことで、これがアクティビスト活動の先駆けといわれています。
現金性資産があまりにも多すぎることからも、経営の非効率化を解消するため、BMキャピタルは金下建設に対して自社株買の提案を実施。
以下の通り、交渉の末に自社株買いは実行されていきました。自社株買いは投資家の1株あたりの価値が上昇するため、ポジティブなニュースとして扱われます。
また企業側もプレスリリースを打ちますので、株価上昇につながる施策なのです。
2014年11月27日 :238,800 株(発行済み株式の 6.27%)
2015年8月21日 :12,000 株(発行済み株式の 0.32%)
2016年3月1日~4月4日 :62,800 株(発行済み株式の 1.65%)
2017年2月14日~3月31日 :162,000 株(発行済み株式の 4.26%)
2018年5月23日 :463,100 株(発行済み株式の 12.17%)
2020年2月14日 : 116,200 株(発行済み株式の 3.05%)
アメリカのアップルもペイパルも、毎年大規模な自社株買いを行い、株価を上昇させてきました。金下建設もこの自社株買いで株価は上昇気流に乗っていきました。
2012年以降株価は上昇を続けました。BMキャピタルは時価総額が大きく現金性資産を超えてくると利益確定を規律に応じて実施するため、
利確は2019年に実行、それまでは買い増し(魅力が高まれば一流の投資家は売却ではなく買い増しを選択)を続けていました。
お手本通りのリターン獲得だと思われます。
この他BSキャピタルは役員報酬についても不当に高い点を指摘し、是正も要求していました。株主として厳しい指摘です。
上場企業の経営陣は、上場するからにはこのような他株主の厳しい指摘も受け入れなければならないのです。
まとめ
金下建設の投資事例を見てきました。
バリュー株投資は奥が深いですがBMキャピタルの投資は非常に勉強になりますし、今回の投資事例は資本家としてのダイナミズムも感じられるものでした。