BMキャピタルはバリュー株投資を実践している国内バリューファンドとして、年々その知名度は上がっています。
→【BMキャピタル】日本最大の評判の和製ヘッジファンド「BM CAPITAL」の運用実績や口コミを含めて網羅的に解説!
実際にどのような銘柄に投資をしているのでしょうか?
今回は私自身もバリュー株投資を勉強中の身でもあり、まとめていきたいと思います。
そもそもバリュー株投資とは?
大まかにですが、ここでもバリュー株投資を復習しておきましょう。投資手法には大きく(本当に大きくですが)バリュー株投資とグロース株投資があります。
グロース株投資は成長率の高い、新興企業に、株価が割高と感じても積極的に投資をしていく手法です。
PERが50倍とかもザラにありますし、赤字会社が多く、PSRも100倍などでも怯むことなく投資していくマインドが必要です。
金融緩和の局面以外では、大変大きなリスクになりますので、かなりマクロ相場の知識がない限りは手出し無用です。
高PERは普通の人には高くて買えませんが、グロース株投資を勉強したことがある人であれば、理解した上で投資できるでしょう。
実は、グロース株投資の方が投資をする際に手掛かりにできるものが多いので、どちらかという初心者はグロース株投資から株式投資を始めるのが正解と思われます。
対して、バリュー株投資は玄人向きの投資であり、非常に難易度の高い投資手法です。
巷ではバリュー株投資を語る人は溢れていますが、溢れてしまうような投資手法ではありません。(ほとんどの人がPERを見て割安、など軽率な場合が多いです)
バリュー株投資は多くの人がPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、PSR(株価売上高倍率)などを手掛かりに「割安度」を判断し投資するものと考えています。
これは大きな勘違いであり、バリュー株投資とはもっと奥深いものなのです。
ベンジャミングレアム氏が提唱する大まかなバリュー株投資の戦略を言ってしまうと、「価値ある企業」を財務分析や会社訪問などをして見定め、「相場の地合い(企業固有の問題ではない株価下落)により安くなったタイミング」で投資をする手法です。
「企業分析力」と「投資タイミング」が肝となります。
バリュー株投資の祖、ベンジャミン・グレアム氏の「1万円札の入った財布が5000円で売られているような株」という言葉はあまりにも有名です。
さて、BMキャピタルが実践してきたバリュー株投資を見ていきましょう。
関連:「ネットネット株の弱点」をアクティビスト戦略で補完!BMキャピタルが行う本格的なバリュー株投資戦略とは?
極東貿易にバリュー株投資
極東貿易は産業機械に特化した専門商社です。
極東貿易の基礎情報
会社概要は以下となります。
設立 | 1947年(昭和22年)11月27日 |
代表者 | 代表取締役社長 岡田 義也 |
本店所在地 | 東京都千代田区大手町2丁目2番1号(新大手町ビル7階) |
従業員数 | 162名(連結子会社総数633名)(2021年3月31日現在) |
事業内容 |
|
極東貿易の業績と財務内容
ここでは大きな指標のみ取り上げますが、売上高・営業利益共に右肩上がりだったのが2020年を機に減少しています。
貿易会社ゆえに、コロナパンデミックの影響によるサプライチェーンの乱れなどが間違いなく影響していると思います。
BMキャピタルが投資を実行した時点の分析
完全にファンドマネジャーの頭の中を再現するのは不可能です。
BMキャピタルが極東貿易をトレードしたのは2018年以前であり、右肩上がりの業績が止まる前に売却を完了しています。
実際に投資を実施していた2015年〜2016年の貸借対照表を見ていきましょう。
資産の部では2015→2016で以下の変化がありました。
- 現金および預金:4389百万円→8008百万円
- 受取手形及び売掛金:16273百万円→20164百万円
- 有価証券:99百万円→50百万円
- 投資有価証券:7082百万円→8497百万円
負債の合計は22046百万円→26727百万円となっています。2015年の現金性資産は27843百万円、負債合計は22046百万円となっています。
現金性資産のみで5797百万円があり、会社を清算する時にこのお金が残ると考えられます。
2016年の現金性資産は36719百万円、負債合計は26727百万円です。現金性資産のみで9992百万円があると考えられます。
2017年初頭の発行済株式数が6,495,918、株価が1200円程度だったことを考えると当時の時価総額は7795百万円と時価総額に対して現金性資産が高いと言える割安状況だったことがわかります。
このような分析をしていることはBMキャピタルの四半期ごとに出されるレポートをもとにまとめています。
これは一要素ではなく、さらに深い分析、または企業訪問などあらゆるヘッジファンドマネジャーの思考が反映され、大きなリターンになったものと考えられます。
筆者からしても、上記の分析ですでに極東貿易の株価は安いと考えられました。
しかし、個別銘柄への投資はこのような企業分析だけではなく、さらにマクロ経済を読んだ上でマーケットの動向へも気を配る必要があります。
明らかにリーマンショックなど来ることが想定できる、または今まさにショックが起きているなどであれば簡単に市場に資金を投入できません。
また、BMキャピタルのようなヘッジファンドはその資金量の大きさ故に、小型株であれば相場を動かしてしまう可能性もあります。
慎重な資金投入が必要になり、これもまたファンドマネジャーが持つ相場、他機関投資家の駆け引きなどもまた見ものです。
そもそも思った株式数が買えないこともしばしばあるでしょうね。ファンド運営で結果を出す難しさを想像してしまいます。