「私募ファンド(プライベートファンド)」といえば、CMなど派手な広告をする公募ファンド(一般的な投資信託)と異なります。
私募ファンドは出資している人も少なければ、ファンドから情報発信もほぼありません。
投資家から資金を募って運用する事業のなかで、資金を募る対象者が狭く限定されているものをいう。また「プライベートファンド」ということもある。通常、募集対象が50人未満のものを指すが、特に対象を適格機関投資家に限った「プロ私募」による事業も私募ファンドの一つである。また、募集対象者を選別するような私募ファンドもある。
つまり、知人からの口コミなどが情報収拾のメインになってきます。
基本的には機関投資家や富裕層などがアクセスできるのがプライベートファンドです。
しかし、そういった情報の非対称を生かして「私募ファンドである」と謳い、ポンジスキームを組成する事業体も少なくありません。
そもそもポンジスキームとは何か?
筆者が出資している先のBMキャピタルがポンジスキームを実施している可能性について今回は探っていきたいと思います。
ポンジスキームとは何か?5つの特徴
「ポンジ・スキーム」という言葉は、1920年にチャールズ・ポンジという詐欺師が作った造語です。
この種の投資詐欺の最初の記録は、1800年代半ばから後半まで遡ることができます。
非常に歴史のある投資詐欺スキームと言えます。
ポンジスキームのポンジは人の名前から来ているのですね。
しかし...いつの時代もこのポンジスキームが世界中で組成されていると考えると、普通に生きていてもリスクは常に隣り合わせですね。
「ポンジ・スキーム」とは、投資家にほとんどリスクを負わせずに高いリターンを約束し、投資させます。よく聞きますよね。
「元本保証で月利3%」とか「元本保証で年利30%」とか。「元本保証」がつくと私は信用しないようにしています。元本が保証されるのであればそれは投資ではないからです。
話を戻しますが、先のノーリスクで投資をさせた投資家には、後から参加した投資家から取り上げたお金を順に支払っていきます。
新しい投資家の資金を初期の支援者に支払うために使用する点で、マルチ商法と似ています。つまり出資者をどんどん集めないとこのスキームは破綻します。
破綻するタイミングで会社は蒸発し、会社運営者は行方不明になります。つまり、全資金を持ち逃げするということです。
ポンジスキームの特徴は以下の通りです。
- 元本保証でハイリターン
- 特別な投資機会
- 金融庁未登録の投資
- 秘密主義的で投機的な戦略(FXなどが多い)
- 事務処理に問題があり、支払いの受け取りが困難
BMキャピタルはポンジスキームなのか?
元本保証でハイリターンの特別な投資
これは「元本保証投資」を指すと思います。
高いリターンとは一般的に米国ルネッサンス・テクノロジーズの年率39.1%(1988~2018年)などを指すでしょう。
これ以上を謳うファンドは間違いなく詐欺と言っても良いです。
なぜならこのようなリターンが出せるのであれば世界中の富裕層や機関投資家から運用してほしいと資金が必ず託されるからです。
単年の投資成績などではあり得ますので、長期投資で考えてください。
BMキャピタルに関しては元本保証では当然なく、年率平均10%程度です。
現実的なリターンを提供しており、資産を増やすには派手なリターンではなく堅実な運用であることを理解していることも伝わってきます。
毎月投資家を安心させるための配当もありませんね。
ポンジスキームは投資してくれる人をとにかく集めることに主眼を置いています。
短期間で一気に集めることを必要とするので、ほとんどのポンジスキームは配当金を配っています。
とにかく甘い勧誘がなされますので、また現金が振り込まれてくることからどんどん信用してしまうという算段です。
秘密主義的で複雑な戦略
BMキャピタルに関しては王道のバリュー株投資です。
市況に合わせてイベントドリブン戦略も組み合わせていることが毎四半期ごとのレポートでは確認できており、非常に具体的且つシンプルです。
バリュー株投資とはウォーレン・バフェットの師匠であるバリュー投資の祖、ベンジャミングレアム氏が考案したネットネット株ですね。
グレアム氏の証券分析は証券会社や有名投資家の間では知らない人はいないと言えるほどの伝説の名著です。
イベントドリブン戦略とは、企業イベントの前後に発生する一時的な株価のミスプライスを利用しようとする投資戦略の一種です。
イベント・ドリブン戦略は、企業イベントの分析に必要な専門知識を必要とします。
そのため、プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)やヘッジファンドで最もよく利用されています。
プライベート・エクイティ・ファンドとは、機関投資家から資金を集めて企業に投資するファイナンシャル・バイヤーであり、一定期間投資したのち、投資を回収して、投資家に還元し、自身もその利益の一部を受け取る。独立系、外資系、大手金融機関系があり、10人から15人程度の専門家で構成される。
企業イベントの例としては、リストラ、合併・買収、倒産、スピンオフ、買収、MBOなど。
イベント・ドリブン戦略は、変化する時期に企業の株価が下落する傾向を利用するものです。
金融庁未登録の投資
こちらは該当しますね。BMキャピタルのストラクチャーは合同会社であり、金融庁の登録なしで運用が可能になるファンドです。
合同会社スキームについては以下の記事で詳細をまとめています。
BMキャピタルは怪しい?大企業のグループの合同会社も採用する合同会社持分権販売スキームについてわかりやすく解説。
ヘッジファンドを運用するには私募ファンド、そして合同会社スキームであることは運営が非常に効率的です。
また金融庁登録ファンドではないため、運用の幅が広い(どんな相場でも柔軟に戦略を展開できる)という大きなメリットがあります。
一般の金融庁登録ファンドは公募ファンド、つまり投資信託です。
彼らは目論見書を出して、相場に合わせてショート戦略を取るなど運用に柔軟性がないというハンデを背負っています。
その代りに、大々的に宣伝して投資家を募れるという強いメリットもあります。もはや集客ビジネスでもあります。
一般投資家からすれば相場に合わせて収益を追求して欲しいのが本音です。
とにかく利回りを追い求められる金融庁登録されていないファンドを選びたいところですが信頼性の面では欠けます。一長一短ありますね。
事務処理に問題があり、支払いの受け取りが困難
BMキャピタルでは面談時にファンドマネージャーや運用成績、手数料や正式な契約書などの書類を確認することになります。
私自身も資金を一時的に必要になったため、引き出したことがありますが、何の滞りもなく完了しました。
(その後再投資していますが、その分複利効果が薄まりました)
不安があれば担当者に連絡をして、相談に乗ってもらいましょう。
投資実態があるという決定的な証拠
ここまで色々述べてきましたが一番の証拠としては投資実態があるということにつきます。
BMキャピタルは大株主として証券会社の画面やIRバンクに登場しています。
大株主として登場するためには大量の資金を投下する必要があります。
ポンジスキームのファンドではあり得ないことです。
BMキャピタルは解約可能なのか?ロックアップ期間とは?
次に気になるのはBMキャピタルは解約できるのかという点だと思います。
結論から申しますと勿論可能です。実際に筆者も不動産を購入する際の頭金を支払うために一部を引き出した経験があります。
もし12年間運用していて解約できなかったらエクシアやスカイプレミアムのように問題になっているので解約は可能と考えて間違い無いでしょう。
ただ、ロックアップ期間というものが設けられています。BMキャピタルは四半期毎に出資と解約ができるという仕組みになっています。
これは海外のヘッジファンドも同様で半年に1回や1年に1回というファンドもあることを考えると四半期に1回というのは良心的ですね。
例えば2023年の2月18日に出資申し込みを行った場合の運用開始は2023年4月1日からとなります。
2027年の5月20日に解約申し込みしても実際に解約されるのは2027年6月末ということになります。
ヘッジファンドはある程度まとまった資金を投資家から集めているので、決まった期間に出資と解約を受け付けることで資金計画をたてて投資戦略を組み立てる必要があります。
重要な投資を実行している時に大口の投資家が資金を引き上げてしまい戦略が実行できなくなるという事態をさけるために設けられた制度となります。
関連:BMキャピタルの最低出資額は1000万円?ロックアップ期間などの解約条件と共にわかりやすく解説!解散したらどうなる?
まとめ
上記の通り、出資者としての立場で本気でBMキャピタルのポンジスキームの可能性についてかなりの調査をしてきました。
出資者になることで本気度が異なりますからね。こ
れまでの担当者とのやりとりや投資実態などを確認した結果、ポンジスキームの要件は満たしていないと言えるでしょう。
BMキャピタルについては詳しくは以下でお伝えしています。