2023年にChatGPTが登場したことで生成AIブームが巻き起こり、その影響でAIの膨大な計算処理を担う半導体銘柄への投資が急増しました。エヌビディア(Ticker:NVDA)はその代表的な銘柄で、2024年6月には時価総額でアップルとマイクロソフトを一時的に抜いてトップに立ちました。
まさか一気に世界一の銘柄になるとは・・・という感じですよね。
この動きに伴い、半導体を投資対象とする投資信託も人気を博しています。
特に注目されているのが野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)で、アクティブ投信の中で買い付けランキング上位に入っています。
今回は、野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)について運用実績と今後の見通しなどを詳しく見ていきましょう。
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)とは?
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)は、特定の業種に焦点を当てたシリーズの一つです。他にも以下のシリーズがあります。
- 世界金融株投資
- 世界半導体株投資
- 世界資源株投資
- 世界ヘルスケア株投資
- マネープール・ファンド
今回取り上げている「世界半導体株投資」は、技術力、利益構造、財務内容などのファンダメンタルズ分析に基づいて世界中の半導体関連企業の株式を選びます。
ベンチマークはMSCI All Country World Semiconductors & Semiconductor Equipment(税引後配当込み・円換算ベース)です。
2023年1月からの上昇が凄まじいことになっていますん。足元は生成AIブームによるバブル的な値動きが見られ、このトレンドは2024年前半も続いていますが、2024年7月現在は流石にそのブームも翳りが見えてきています。
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の構成上位銘柄
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の構成上位銘柄は以下の通りです。エヌヴィディアの比率が30%弱と飛び抜けていますね。株価上昇が凄かったですから、気づけばこういった比率になっていたのだと思います。
銘柄 | 国・地域 | 業種 | 純資産比 |
---|---|---|---|
NVIDIA CORP | アメリカ | 半導体 | 29.2% |
BROADCOM INC | アメリカ | 半導体 | 12.2% |
TSMC | 台湾 | 半導体 | 10.2% |
QUALCOMM INC | アメリカ | 半導体 | 5.6% |
APPLIED MATERIAL | アメリカ | 半導体素材・装置 | 5.5% |
MICRON TECHNOLOGY | アメリカ | 半導体 | 4.8% |
KLA CORP | アメリカ | 半導体素材・装置 | 4.4% |
SK HYNIX | 韓国 | 半導体 | 3.8% |
MARVEL TECHNOLOGY | アメリカ | 半導体 | 3.8% |
ASM INTERNATIONAL | オランダ | 半導体素材・装置 | 3.8% |
その他、BROADCOM、TSMC、QUALCOMMといった主要な半導体企業が上位に位置しています。
上位4銘柄で60%近くを構成している点は特徴的で、ブームが終焉を迎えた時のダメージを想像すると冷や汗が出ますね。
NVIDIAがAIブームで注目される理由
生成AIブームの中心にいるのがNVIDIAです。NVIDIA株はわずか1年半で10倍に成長し、一時的にアップルとマイクロソフトを超えて時価総額世界一となりました。
もう使い古された名称になってしまった「ChatGPT」の利用が無料で開放され、マイクロソフトが本腰で「OpenAI(会社)」に投資を実行し一気にAIが注目されました。chatGPTの技術自体は有名だったのですが、株式市場でついに火がつきましたよね。
NVIDIA自体はグラフィック処理ユニット(GPU)の開発を行う企業で、GPUはゲームや映画制作、3Dモデリングなどで広く使用される半導体です。
AIの開発にはPyTorchというツールが広く使用され、そのPyTorchのコードを高速に実行するためのCUDAというツールを動かせるGPUはNVIDIAだけが製造しています。このため、AI向けGPU市場をNVIDIAが独占しているのです。
AIブームのど真ん中企業であるNVIDIAの株価が、AIブームの始まりと終焉を決めますので、今後も株式投資をしている人にとっては要注目の銘柄ですね。
もちろん、NVIDIA次第で、野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)のリターンもほぼ決まります。同投信を保有している人は、かなり緊張感の続く日々になるかと思われます。
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の運用実績
次に運用実績を見ていきましょう。2009年の運用開始以来、分配金再投資後で27倍に成長していますが、ベンチマークであるMSCI All Country World Semiconductors & Semiconductor Equipment(税引後配当込み・円換算ベース)に比べると劣後しています。
半導体銘柄の株価は変動が激しく、短期的には大きな下落の可能性もあります。例えば、2022年には円建てで30%程度下落しました。円安がなければ半分以下になっていた可能性もあります。
中長期的な投資は難しいですが、長期的な複利運用を通じて資産を増やすことが重要です。
掲示板での口コミ評価・評判
一応、口コミも見ておきましょう。
「結局何でこんなに下がっているの?」
「乱高下が嫌だから全て売却しました」
「半導体業界で働いています。
半導体の株は約4年周期で上下するという通説があります。
今回も前回の大幅な下げから約4年。
周期の一環と見る方もいらっしゃいます。元から株クラの1部には7月から徐々に低調になり、9月の大統領選挙を下落のピークと見てる方も多かったのでその見た手が当たっていたのかと思います。
今回、バイデンの対中国の半導体規制
これは半導体業界の中ではいつか来るものとエンジニアの間でも話題になっていたもので、それがここできたかという印象です。
しかし、この業界が1番恐れているのは台湾有事です。」「とりあえず損切りした
2ヶ月後くらいにまた入ろう」「傷が広がらない内に損切りしました。
皆さん頑張ってください。」
直近の大幅な下げに狼狽している様子や、台湾有事を心配している声が多かったです。
台湾有事になってくると、株は全面的にダメなんですが・・・。
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の今後の見通し
今後の見通しを考える際には、現在の上昇が生成AIバブルによるものであるかどうかが重要です。
AI関連製品の収益が投資を上回る場合、バブルとは言えませんが、現状ではNVIDIAのデータセンター向けGPUの売り上げは2024年度に100兆円と予測されています。
対して、最大の収益を上げているChatGPTを開発したOpenAIの売上見通しは6000億円で、その他の大型企業の売上を合わせても2兆円未満です。
この状況はバブル的であり、持続可能ではないと考えられます。
ドットコムバブルの時にも、同じような状況で収益見通しを超える大胆な企業のITへの投資が株式市場を加熱させていきました。しかし、ある日にピタッと事業投資が止まり、そこから崩壊が始まりました。
半導体企業の「投資」項目は要注目です。決算も隅々見て、気づく必要があるので、ブームから正確に手を引くタイミングはとても難しいのです。
投資においては、特定のテーマに飛び乗るのではなく、安定したリターンを目指すことが重要です。
長期的に安定的なリターンが期待できるファンドに投資し、着実に資産を増やしていくことが求められます。